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「刀剣乱舞」の太刀・石切丸を所蔵する神社と「空を舞う日本最古の飛行塔」を訪ねて、いざ生駒へ!

インバウンドから逃れたい! 家族で訪ねる夏の関西歴史スポット


■日本最古×2、生駒山上遊園地ヒストリー

 

 石切劔箭神社から生駒山上遊園地へは、まず近鉄けいはんな線で新石切駅から生駒駅に行く。そこからは生駒ケーブルに乗り継ぎ、鳥居前駅から生駒山上駅へ。遊園地は駅の目の前だ。

 

 生駒ケーブルは大正7年(1918)に日本初のケーブルカーとして開通した。「ブル」「ミケ」の犬猫キャラクターの車両がかわいい。最前列に座ると、山上までの急斜面が間近に迫り、線路が先端で細くすぼまる。側面の車窓に目をやると緑越しのはるか向こうに山麓の街が小さくのぞく。生駒ケーブルはこの傾斜を100年以上、登り降りしてきた。

 

 生駒山上遊園地は生駒山の上で昭和4年(1929)開園。こちらもあと数年で100周年を迎える。現存する大型遊具では日本最古の飛行塔で、生駒ケーブルとともに2021年、土木学会推奨土木遺産に認定された。飛行塔の構造体が誕生当時のまま受け継がれているところに価値がある。戦中は軍の防空監視塔になったため、物資不足による金属回収令で解体されるのを免れた。終戦の翌年には遊園地が再オープン。乗り越えてきた歴史に重みがある。

生駒ケーブル車中からの眺望

 飛行塔の高さは約30メートル、回転と上下動しながら遊泳する飛行機型のゴンドラはいわば空飛ぶ展望台。山麓の絶景を見下ろす爽快感は、大人にも子供にも大人気。ゴンドラの形はジェット旅客機、スペースシャトルなど時代とともに変遷し、7代目にあたる現在はレトロな複葉機スタイルだ。遊園内には、ほかにもSL列車、アニマルティーカップなど家族向けの乗り物中心に20数種のアトラクションが勢ぞろい。昔ながらのお化け屋敷では納涼気分も味わえる。入園無料(乗り物は有料)というのも家族連れにはありがたい。

 

 生駒の歴史、おまけをひとつ。白水山龍光院は八大龍王を祀り、空海が開いたと伝える古社。遊園地に立つ案内板に誘われて歩いていくと、ひっそり佇む祠がある。生駒の奥深さを物語る隠れスポットだ。

生駒山上遊園地、現存最古の飛行塔

 

 

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過去記事

本渡 章ほんど あきら

1952年生まれ。作家・古地図コレクター。1996年、第3回パスカル短篇文学新人賞優秀賞受賞。著書に『図典「摂津名所図会」を読む』『図典「大和名所図会を読む』『古地図が語る大災害』『カラー版・大阪古地図むかし案内』『京都名所むかし案内』(以上、創元社)、『鳥観図!』『大阪古地図パラダイス』『古地図で歩く大阪ザ・ベスト10』(以上、140B)など。他に編著『超短編アンソロジー』(ちくま文庫)、共著『飛翔への夢』(集英社)など。

 

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